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反レイシズムの中で。

 私が最近の「反レイシズム」の動きの中で小さい肝っ玉で考えていた事を、備忘録としてまとめておこうと思う。

 

 

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 「ネット右翼」という言葉を御存知だろうか。

 嫌韓国、嫌北朝鮮、嫌中国を標榜し、「歴史修正主義」的な歴史観を持って、先の大戦などをネットで語る人々の事を総称して、「ネット右翼」という。

 

 この言葉の定義や、いつからといった歴史については、筆者は無学であるので、google先生にでも聞いてほしい。ただ、ここで、彼らが、ネットでだけでなく、現実でどういう行動をし、また、多くの人がそれに反対したかを私の感想を踏まえつつ簡単に述べたい。

 そのために、ここで、一つの書籍を紹介したい。 

 

安田浩一著『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)

 

  この本に登場する、「ネット右翼」と呼ばれ、現実世界で「行動する保守」なる人物たちは、今、この日本で、公然と、在日コリアンの人々に向けて、「在日(コリアン)は日本から出ていけー」や、「悪い朝鮮人も良い朝鮮人もどちらも殺せ」だのという、ひどいヘイトスピーチ(人種差別発言)をデモや街宣で繰り返している。

 

 その理由は、「在日特権」なる特権が、日本で暮らすコリアンには存在し、それの撤廃を求めるため、過激なパフォーマンスを繰り返しているのだという。

 安田浩一氏は『ネットと愛国』の【5「在日特権」の正体】の中で、一つ一つその「特権」なるものを歴史的経緯、現日本社会の状況を踏まえて解説し、それは特権ではなく、「旧宗主国の責任としてわが国が在日に対して設けた補完的な権利が、いつのまにか特権だとして槍玉にあげられた」と説明している。

 

 たとえば在日コリアンの中には通名の使用(日本風の名前を使用)している人々がいることを「特権」と「行動する保守」が主張する事に対しては、<2005年、大手住宅メーカー・積水ハウスの在日韓国人社員が、営業先のマンションオーナーから「スパイ」「北朝鮮にいくら送金しているのか」などと差別的な発言を受けたとして、慰謝料請求の訴訟を起こした>という事例を紹介し、そのことを以て、「在日コリアンが本名で生きていくことの困難さを示す事件であったと同時に、日本社会に存在する差別と偏見のまなざしを浮き彫りにした」と述べている。私自身もこの事例を知り、とてもじゃないが、通名の使用を「特権」などと呼ぶ事は出来ないであろうと思う。

 このように、根拠のない、極めて薄い内容を以て、在日コリアンに憎悪を向ける「行動する保守」達は、どうかしている。

 

 

 

 しかし彼らは「行動する」。

 その行動はyoutubeに上っている物を見て頂くのが一番だろう。

 

 


不逞鮮人追放!韓流撲滅 デモ in 新大久保2013/2/9 - YouTube

 

 彼らは関東の新大久保や、関西の鶴橋といった、コリアンとゆかりのある地で、「在日韓国朝鮮人を叩きだせ」だのと叫んでいる。これは最初に上げた、人種差別撤廃条約の定義する、人種差別に該当するものである。

(ニューカマーとオールドカマ―それぞれに縁のある地で一緒にしてはいけないので、本来は列挙すべきではないが、行動する馬鹿はいっしょくたにしているので仕方がないので、併記させていただく)

 これを彼らは警察に守られながら、白昼堂々と行っている。

 2013年の日本で。

 

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 かれら「レイシスト」(人種差別主義者)に対抗する反レイシズムを語る前に、レイシズムとはなにかという事を簡単に押さえておきたい。

 

 レイシズムは日本語でいえば、人種差別主義である。つまり、人種によって相手を差別する考え方を指す。具体的な人種差別の定義は、多くの国の批准(日本は1995年加入)の下に成り立っている、「人種差別撤廃条約」(正式名称:あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)の第1部、第1条を参照したい。

以下、http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/conv_j.html#1 より

 

<引用>

 

 

1

  第1条

  1 この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族   的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、   文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由  を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。

  

 

<引用了>

 この定義が最も普遍的でわかりやすい定義であり、何より、日本に於いては批准国として、このような人種差別を撤廃するようにしなければならないのであって、そのことは皆様了解していただけるように思う。

 

 ただ、日本では、上記の動画のような主張が、白昼堂々なされている。

 この条約に批准している日本で。

 ただ、これらに、黙っているだけではない人々が、2013年1月12日に大勢あらわれた。

(もっと前から、「行動する保守」に対抗する人間はいた。彼らこそ勇気ある人間だ)

 

それは、新大久保でデモに出くわした、「市民」だった。

 

新大久保の反韓デモに対する多数派のツイートまとめ

http://matome.naver.jp/odai/2135797745568077001

 

 ここでは、「在日特権を許さない市民の会」の代表「桜井誠」(本名:高田誠)氏への痛烈な批判や、デモの主張はおかしいんじゃないかということが、街を訪れた人々から述べられている。

 多くの人は、彼らの主張はおかしいと気が付いた。

 

 そして、それに呼応するように、2月9日に登場したのが編集者、野間易通氏が主催する「レイシストしばき隊」である。

レイシストをしばき隊 隊員募集

http://kdxn.tumblr.com/post/41861067184

 

 このレイシストしばき隊は、柄悪くレイシストに近づき「行動する保守」の「お散歩」と称する、迷惑行為を、やめさせるという団体である。その他にも、彼らのデモに罵声を浴びせ「レイシスト帰れ」と叫ぶ。毀誉褒貶が激しい団体である。その暴力的な風貌、ガラの悪さというものが、今までの日本のカウンター側、反差別側に似つかわしくないというが、一番の批判の対象となっている。

 しかし、この団体の登場により、「お散歩」という迷惑行為が無くなり、警官隊に守られての集団下校を「行動する保守」がしているのも事実だ。

 

そして、2月17日にあらわれたのが、「プラカード隊」の愛称を持つ、有志達である。呼びかけ人は社会人学生(トランペッター)の木野寿紀氏である。

 

木野寿紀ブログ Kino Toshiki Blog

4月21日に新大久保で開催予定の差別デモに対し、反対の意思表示をしませんか

http://kino-toshiki.tumblr.com/

木野氏ら有志は、「仲良くしようぜ」(洋子,斧氏によるデザイン)と日本語とハングルで書かれたプラカードを持ち、街に対して掲げる事で、彼ら「行動する保守」に反対する人間がいる事を示そうとする。

それらの行動は今でも続き、その人数は100人とも、200人ともいわれる人間が、「反レイシズム」の為に集まったとされる。

 

<引用>

「田中龍作ジャーナル」

【新大久保】「殺せ」と言えなくなったレイシスト カウンターの市民に抑え込まれ

http://tanakaryusaku.jp/2013/03/0006905

レイシストはわずか120名(公安刑事によるカウント)。歩道は両側とも「仲良くしようぜ」などと書かれたプラカードを持ったカウンターの市民で溢れた。レイシストの2倍をはるかに上回る数だ。」

<引用了>

 

これらの行動は、国会議員にも届く。

<参照>

岩本太郎のメディアの夢の島

【暫定版】3月14日『排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会』

http://blog.livedoor.jp/ourplanet_iwamoto/archives/52009846.html

 

3月14日に有田芳生議員らが呼びかけ人となり、排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会を開いた。国会議員すら、明確に「人種差別主義にNO」を突き付けた格好になる。

 

このほかにも、岡田ぱみゅぱみゅ氏・のいえほいえ氏が主体となって実現した(双方ツイッターアカウント名)

有名人による反レイシズムのメッセージなどによる、「反レイシズム」運動が盛んに行われている。

 


2013.3.31 「反レイシズム著名人メッセージ」/ 宇城輝人 - YouTube

 

 

未だに「行動する保守」によるデモが行われているが、その数は今年1月に比べると着実に減り、また、4月21日には、「行動する保守」一番の代表格「桜井誠」(本名:高田誠)氏は謎の腹痛に見舞われ、新大久保で行われた「行動する保守」主催のデモへの参加を見送る事態にもなっている。

 

もう一つ、今行われている反レイシズムの動き署名活動がある。

 

差別的デモ・街宣に抗議する会

http://anti-discrimination-action.tumblr.com/

 

 これは、在日コリアン3世、金展克氏が呼びかけしているもので、デモのルートから、新大久保や、鶴橋を外してほしいと東京都公安委員会へとお願いするものだ。

 今、直筆とネット署名で8000~9000筆近く集まり、その数は、「行動する保守」の最大派閥「在日特権を許さない市民の会」の公称12,931人に届かんばかりだ。

 

 こういった動きは活発さを増し、少しづつ、少しづつ、「行動する保守」のおかしさを多くの人が指摘するようになった。

 

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 私は街に出て、プラカードを持ち、「レイシスト帰れ」と叫び、署名をしてきた。 

 

 私はわからない。自分が「反人種差別主義者」なのか。

 それとも、単に憂さ晴らしでやっている「ならず者」なのか。

 それとも、多くの左翼諸氏が指摘する、構造的、制度的な差別に切り込まない

 「事なかれ主義者」なのか。

 もしくは本当の意味での差別を強化する「差別主義者」なのか。

 どっちもどっちと思う方々からすれば、

 「行動する保守と向き合ってしまった怪物」。

 また、マイノリティの方からすれば「抑圧者」

 そしてただの「目立ちたがり」

 悩みを青春の懊悩に回収してしまっている「ナルシスト」

 多くの人々に騙された「馬鹿野郎」

 

 これらの呼び方は、上記のいろんな活動に参加する人に投げかけられた言葉だ。

 結局、私はここで気が付くのだ。私を誰も語ろうとしているわけじゃない。

 ある行動をする集団に対し、ああでもない、こうでもないと批判をするんだ。

 

 

 何をどうしたって、政治の動きの前で、「頭数」以外の付加価値を付けられない人間は、個人とみなされない。どうしたってそうなんだ。

 多分、僕は、寂しいから、こういう活動に参加していた。ちょっと政治に興味があっても、関われるほどの度胸も、力もない。政治家のサポーターをするほど勤勉でもない。献金するほどの金もない。

 そして、わけがわからなくなって、プラカードを掲げ、緊張でトイレで吐いて、家に帰り、いつものオタクとしての生活に戻っていく。

 

 不思議と、反レイシズムを掲げる人は、お洒落で、有能で素敵な人が多い。

 

 僕は、どこに居て、何をして、何がしたかったんだろう。

 僕は、誰かを個人として見て、付き合えているのだろうか。

 こういうことを悩む自体が、味方を撃つことなんだろうか。

 

 相手に何者か、と問う時、自分は何者か、を問われている。

 僕の寂しい人生は、寂しいままだ。それは、反レイシズムと関係のない所で。

 だから、余計に、彼ら「行動する保守」を見るのは苦しいんだ。

 寂しい人は皆ああなるんじゃないかと思われるのが、苦しい。

 僕は精一杯の強がりで、吐きながら、彼らに「やめてくれ」という。それは、僕が寂しさに食い殺されて、「行動する保守」のようになって、やってはいけないことをする前に、誰かに止めてほしいからだ。

 

 やめよう。